絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

かいじゅうたちのいるところ

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かいじゅうたちのいるところ
 モーリス・センダック 作  神宮輝夫 訳
   富山房 1975年

あらすじと感想

ある日、いたずらが過ぎたマックスは夕食抜きで寝室に放り込まれてしまいます。すると部屋のなかに木や草が生えてきて、あっという間に森になってしまいます。そこへ今度は海の波が打ち寄せ、船まで運ばれてくるのです。マックスはその船に乗り、着いたのは<かいじゅうたちのいるところ>。おっかないかいじゅうがいっぱいの島でしたが、魔法を使ってマックスは王様になります。そして、かいじゅうたちを家来に思いっきり楽しみます。でも、マックスはだんだんさびしくなってきます。かいじゅうたちに引き留められますが、船に乗り込み家路につきます。いつのまにか自宅の寝室に戻ると暖かな夕ご飯がテーブルに置いてあり、マックスはほっとするのでした。日常空間から異世界へ、そしてふたたび日常へと帰還する王道的な冒険物語。そのスケール感、ダイナミズム、そしてエンディングの安らぎに心動かされない子はいないでしょう。

 

読み聞かせレポート
対 象:小学1年生  12人
場 所:はまっ子ふれあいスクール

明快な絵とシンプルなストーリーで、3、4歳ぐらいからでも充分に楽しめる作品です。この絵本の読み聞かせのポイントは“間”の取り方だと思います。場面、場面の文章が短めなので、やはりページめくりはゆっくりとしなければなりませんね。中盤では3見開き、まるまる6ページにわたりテキストのないシーンがあります。ここも楽しいダイナミックな絵をじっくりと見せてあげてください。端にいる子、うしろにいる子、みんなにかいじゅうたちの迫力のある姿を堪能させてください。じーっと絵に見入る子どもたちにこちらも引き込まれそうになります。最後のページは絵がありません。短い文だけです。絵がないと不安になりますが、落ち着いてかみしめるように読み、余韻を残して終いにするといいと思います。