絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

ちいさいおうち

『ちいさいおうち』
 バージニア・リー・バートン 文・絵 
 石井桃子 訳 岩波書店 

*******essay

『ちいさいおうち』という絵本がある。
絵本そのものもひかえめなサイズだ。
(大型本もある)
名作中の名作なので
知る人も多いだろう。
太陽が昇り、沈み。
星が輝き、月が満ち欠けする。
日々のなにげない変化と季節の移ろいを
楽しめる、牧歌的な土地に建つ家。
やがて近くにコールタールの道路が敷かれ、
自動車が走り出し、
まわりにたくさんの家が建ちはじめる。
それからはアパートや公団住宅や駐車場……
ありとあらゆる文明的なものが
家のまわりを取り囲んでいく。
高架線やビルディイング、地下鉄……
どんどんどんどん、「ちいさなおうち」が
埋もれそうになるほどだ。
自分の愛した土地が
都会となってしまったことを嘆くが、
やがて人の力もあって
「ちいさなおうち」は、
いなかへと引っ越していく。
そんなストーリーだ。
「ちいさなおうちは」しあわせになれたが、
文明は引っ越すわけにはいかない。
さあどうしよう。
せめていい文明をつくるしかない。