ふしぎふしぎ
『ふしぎふしぎ』
片山 令子 作
長 新太 絵
国土社 1997年
あらすじ
気持ちのいい朝、ミチコはひかりがいっぱいの空とはなしをします。そして空からおいしいひかりをもらいます。そのひかりをびんに入れて歩いていると、キツネがやってきて「それをよこせ」とおどします。「はんぶんこしない? それともぜんぶ?」ミチコはいいます。「はんぶんこと ぜんぶと、どっちがおおい?」とキツネ。ミチコはこたえます「はんぶんこにきまっているじゃない。ぜんぶはひとりだけおいしいけど、はんぶんこはふたりともおいしいもの」と。納得するキツネ。また歩き出すと、今度はふとったウサギに出会います。かなしくて過食になったウサギにもおいしいひかりをごちそうしてあげます。つぎに出会ったのがクマで、クマはひかりの飲みものをぜんぶひとりじめしてしまいますが、ぜんぶ消えてなくなってしまいます。ミチコとキツネとウサギは丘のてっぺんをめざします。そこではおいしいひかりがいっぱいそそぎこんでくるのです。分かち合うことの大切さを詩的に伝えながらも、おひさまという無限のすばらしいパワーへの賛歌がひびきわたる絵本です。
読み聞かせレポート
対象: 小学1年生 1人
場所: 自宅ベッド
夜、小学1年の娘にベッドの中で読み聞かせしました。両のまぶたが今にもくっつきそうで、これは読みはじめたらすぐ寝入るだろうと思っていましたが、最後まできっちり楽しんでくれました。タイトルの「ふしぎふしぎ」という言葉が物語の中で3回出てきます。コップの中においしいひかりがいっぱいにそそがれるシーンです。ここは、棒読みにせず、3場面とも「フシギー、フシギ」と抑揚をつけながらゆっくりと読みました。この節回しにより絵本と一体化した感じになり、読み聞かせがグッと自分のものになったようです。難しいのは最後のセンテンス、「みんなしってた? おいしいおひさま おいしいひかり」です。疑問形がきて、そして体言止めです。ここは試行錯誤しながら、いい余韻を残せるエンディングにしたいですね。読み終わり絵本と閉じると、娘はあっという間に眠りの世界に入っていきました。その安らぎの顔、満足そうな表情は何ものにもかえられないものでした。