絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

おばけやしきへ ようこそ!

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『おばけやしきへ ようこそ!』 
 ストリード 作   エリクソン 絵  
 オスターグレン晴子 訳
  偕成社 1996年刊(初版)

 

あらすじと感想


森のおくにある、城のように大きなおばけやしき。そこでは魔女やゆうれい、おどろおどろしい地霊トロルたちが暮らしています。そこへ両親とはぐれ、迷子になったちいさな女の子がやってきます。ひさしぶりの人の訪問に、ばけものたちは大喜び。驚かせてやろうと待ちかまえます。ところがこの女の子、気味の悪いやしきにも魔女にもまったく動じません。夕食にすすめられる、ヘビ、クモ、カエル入りスープをぴしゃりと断り、バタつきパンを毅然(きぜん)と要求します。そして、いちばんおそろしい部屋に案内されるも、ゆうれいたちをものともせず、これまた平然とやりすごします。おばけやしきの住人たちはもうすっかりお手上げ。強くて勇ましいちいさな主人公は、同じ年頃の子どもたち、とくに女の子のハートをがっちりとつかむことでしょう。

 

<読み聞かせ>レポート

 対象:小学生1年~3年生 8人 

 場所:学童保育クラブ


主人公の女の子はとても勇敢で、凛(りん)としています。それに対するおばけやしきのガイド役の魔女はいじわるなキャラです。歳もとっています。この2人の話のやりとりは声色をつかってメリハリをつけました。女の子のせりふはお嬢ちゃんぽっく、それでいて毅然とした物言いなので、こちらも背を正してキーを上げて発声するようにしました。逆に魔女のときは背中を丸めて、ゆっくり低い声で話しました。興味をかきたてるストーリーと絵の魅力のおかげもあり、子どもたちは集中力を切らさず最後まで静かに聞いてくれました。読み終わってから、3年生の女の子たちがやってきて、もう一度ばけものたちの絵に見入ります。「あたしこの子みたいにぜったいできないなあ」とためいきをつき、主人公の少女にしきりに感心していました。