絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

アンディとらいおん


『アンディとらいおん』
 ジェームズ・ドーハーディ 文・絵
 むらおか はなこ 訳

あらすじと感想

図書館からライオンの本を借りてきたアンディ。夢中になって本を読み、頭のなかはもうライオンのことでいっぱいに。朝、学校へ行く途中、アンディはなんとライオンと遭遇してしまいます。しかもそのライオンの足にはトゲが刺さっているのです。アンディはそのトゲを抜いてあげたのでライオンは大喜び。町へサーカスがやってきます。さっそくアンディも見に出かけます。ところが観客席へ逃げたライオンが飛び込んで大騒ぎになります。そして凶暴なライオンはアンディの前に立ちふさがり、アンディは絶体絶命に。でもそのライオンはあのトゲを抜いてあげたライオンだったのです。80ページという厚みのある絵本ですが、短く簡潔な文章にスピード感のあるストーリーであっとう間に読み切ってしまう作品です。左ページにテキスト、右ページに絵というスタイル、紙芝居風に次の展開へと進む構成も読み聞かせにとても合っています。

 

読み聞かせレポート
対象: 小学4年生 約30人 
場所: 教室(朝の読み聞かせ)

朝の読み聞かせの時は、教室に入り椅子に座ってから読む絵本を決める、ということにしました。今回は、このスタイルでのはじめての読み聞かせ。子どもたちのテンションはやや高め。選んだのは『アンディとらいおん』。他に2冊持っていきました。しっとりした空気だったら『つみきのいえ』(加藤久仁生 絵)、凛とした雰囲気だったら『あたらしいぼく』(ゾロトウ)にしようと思っていました。『アンディとらいおん』は副題に“しんせつをわすれなかったおはなし”とありますが、教訓めいているわけではありません。ページ数はありますが、10分以内で充分に読み切れます。読み聞かせで留意したのは、スピード感を失わないことです。40枚もの絵がめくりめく物語を速やかに進行していきます。噛まないよう、イントネーションが乱れないよう、通しで3回練習しました、立て板に水、でも早口にならないよう注意も必要。この絵本は3つに章立てされています。いきおい、どうしてもスピードが出てきたら、章の見開き扉のところでリセットできます。また、“そして”“そこで”“それから”“ところが”などの接続詞やセンテンスの途中で切れて次のページへいくという展開が多用されています。ページめくりがもたつくとスピード感どころか集中度も失速。まずは、前もって入念にページをめくりやすいように<めくりぐせ>をつけておきました。これ一番大事でした。