絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

ノエルのひみつ

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『ノエルのひみつ』
 グレゴアール ソロタレフ 作   すえまつ ひみこ 訳
 佑学社 1990年

あらすじと感想

冬のある日、ノエルは森で赤い大きな袋と手紙をみつけます。手紙には明日の朝、もう一度ここに来てほしいと書いてあるのです。朝、森へ行ってみると、袋は前よりも大きくふくらんでいます。手紙の主は3人のこびとでした。ノエルに袋を運ぶ手伝いをしてもらいたかったのです。ノエルはお気に入りの赤い服を着て、赤い帽子をかぶり、赤いブーツをはいて、子どもたちにプレゼントをおいてくるようになります。そして、こびとはノエルに手伝ってもらうかわりにある秘密の約束をしてくれます。ノエルは毎年、クリスマスになると世界中の子どもたちにオモチャをくばってまわるようになりました。秘密の約束というのは、トナカイのそりに乗っていつまでも楽しい空の旅をさせてくれるということだったのです。ひとりの少年がサンタクロースとなるお話しです。親しさと深遠さが交差するほのぼのとした作品です。絵柄も大きく色彩、構図もインパクトがあり、クリスマスの読み聞かせにもってこいの絵本です。


読み聞かせレポート
対象: 小学1~2年生 25人 
場所: はまっ子ふれあいスクール

読み聞かせでやってはいけないことをやってしまいました。時間が押せ押せになり、つい“かけあし”で読んでしまったのです。この日は下校時間が早い1・2年生を集めた「おはなし会」。なんだかんだあってスタート時間が遅れ、さらに前の先生の読み聞かせが長引き、持ち時間は5分あるかどうか。あせります。ザワザワしているうちから読み出しました。練習をしているのでよどみなく進みます。ときどき間を取ろうとしますが、アクセルをめいっぱい踏んで急ブレーキをかけるようなもの。みどころのページをしっかりひらいてゆっくり見てもらうこともできません。子どもたちの表情を眺める余裕もありません。読み聞かせでは、子どもたちの表情や空気感で、読む速度、間合い、声のトーンが微妙に調律されていくものなのです。高学年の下校時刻となり、ちょうどエンディングをむかえるとき、あたりはいつものようにドタバタ、ぎゃあぎゃあ・・・。読みはじめる前に“勇気ある撤退”が必要でした。おはなし会で選ばれた本、もしかしたら、その絵本は子どもたちにとって一期一会となる作品かもしれないのですからね。読み手にはそうした責任があるのです。反省しています。