絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

サーカス

f:id:ehontabi:20220414154931j:plain

『サーカス』
 高部 晴市 作
 架空社 1996年

 

あらすじと感想

これといったストーリーはありません。サーカス団がやってきて、サーカスがはじまります。大男があらわれゾウを持ち上げ、ピエロがでてきて玉乗りをします。箱男がなんでも食べて、魚男が金魚鉢に飛び込みます。空気女がふくらみ、ちぢんでみせます。ヘビ女がヘビを首にぐるぐるに巻きつけます。最後にサーカスの花形、空中ブランコがクルクルクルリンと宙を舞います。そしてサーカスが終わり、サーカス団は去って行きます。驚きと謎めいたサーカスの世界を味のあるグラフィカルな絵でみごとに表現しています。本文22ページ、文字も少なく、めくればあっという間に終わってしまいます。でも、大胆な構図、コミカルで暖かみのある登場人物など、一度出会ったら忘れられない絵本です。そして、サーカスのもうひとつの風景でもある音が鳴り響いてくるような本です。


読み聞かせレポート
対象: 小学1・2年 33人
場所: はまっ子ふれあいスクール

ブンチャカ、ブンチャカ、ブンチャカ、チャとサーカスの幕がひらきます。このブンチャカ、ブンチャカの音がサーカスですよね。はじめに出てくるのはモリモリ筋肉の大男。そのおもしろオッカナイ姿に、おっーとみんなうれしそう。そしてジンタタ、ジンタタ、ジンタッタとおきまりのフレーズを発して、つぎのご登場となります。この絵本は、絵だけでも子どもたちを楽しませてくれます。読み手は、繰り返されるサーカスの音風景「ジンタタ、ジンタタ、ジンタッタ」をスネアを叩くように鳴りひびかせるだけ。魚男、空気女、ヘビ女と次々にあらわれ、子どもたちもどんどんサーカスに引き込まれていきます。でも、空中ブランコが出てエンディング。子どもたちから、えっ~もうおしまい、と悲鳴があがりました。アンコールをお願いされましたが、時間切れです。この本は図書館で借りてきたもの。「今度、買っておくね!」といってその場をおさめましたが、絵本『サーカス』はもう絶版!。時間があれば、アンコールにはぜひ応えてあげてください。