絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

雪の写真家 ベントレー


『雪の写真家 ベントレー
 ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン 作
 メアリー・アゼアリアン

あらすじと感想
今から100年以上前、雪の結晶の写真撮影に情熱をそそぎこんだ人がいました。アメリカ・バーモント州の雪深い村で生まれたウィリー・ベントレーです。雪が大好きだった子ども時代から物語ははじまります。お母さんからもらった古い顕微鏡で雪の結晶を観察し、その美しさを他の人にも知ってもらおうとせっせとスケッチをするウィリー。裕福ではありませんでしたが、乳牛10頭分もするとても高額な顕微鏡つきのカメラをウィリーは両親から買ってもらいます。すぐにとけて消えてしまう雪はなかなかうまく撮影できません。でも、ウィリーはくじけません。研究に研究を重ね、すばらしい雪の結晶の撮影に成功するのです。それから何十年も、死ぬまでウィリー・ベントレーは……。一介の農夫が世界に雪の美しい姿を伝える実話の物語です。この絵本のなかには現代とは異なる時代性や科学的な要素、伝記的なところもあります。そうした箇所では、本文とは別枠で脚注的な解説文も書かれています。ただ、読み聞かせでは、物語を進行させる本文のみで行うのがいいでしょう。いくつかの場面でちょっと説明も必要かもしれませんが、小学生低学年でも充分に理解でき、興味をかきたてられる内容です。いろんな側面で学びと感動を得ることができるでしょう。

 

 読み聞かせレポート
対象: 小学1・2年 31人
場所: はまっ子ふれあいスクール

2014年2月15日(土) 20:46つい1週間ほど前に積雪28センチという記録的な大雪となった橫浜。この冬、ぜひ読み聞かせしたいと思っていた“ベントレー”、いいタイミングでの出番となりました。世界一の雪の写真家が主人公の物語です。ベントレーがどんな写真を実際に撮っていたのか、図書館から借りてきた洋書『SNOW CRYSTALS』を読み前に子どもたちに見せてあげました。2000点もの雪の結晶の写真にみんなびっくり! 俄然、雪の写真家に好奇心をかきたてられたようです。絵本には雪の撮影に関わるいくつかの道具が登場します。顕微鏡を知らない子のためにその使い方を教えてあげたり、いまとはぜんぜん違う昔の大きな乾板写真機にみんなと驚いたり、幻灯機が登場する場面では、わたし自身の幻灯機体験を話してあげたりしました。少しばかり逸脱した読み聞かせとなりましたが、読み聞かせは朗読とは違うので、ときに解説があったり会話があったり一緒に感動したりがあっていいと思います。もちろん物語にきちんと戻れる範囲内でのことですが。読み聞かせが終わってから1年生の男の子が二人『SNOW CRYSTALS』を借りに来ました。めずらしく外遊びへも行かず、1ページ、1ページめくりながら頭を寄せ合って雪の結晶に見入っていました。