うさぎのおるすばん
『うさぎのおるすばん』
イ ホベク 作 黒田 福美 訳
平凡社 2003年
あらすじと感想
ある日、ベランダに飼われているうさぎが家の人の留守にこっそりなかに入りこみます。冷蔵庫をのぞいてみたり、おかしを食べながらビデオを見たりします。お母さんの鏡台で化粧までしてみます。ルージュをつけたうさぎ、これ絵になります。とってもかわいい!おうちのちっちゃい女の子のチマチョゴリも着てみます。これもぴったりです。それから子ども部屋でブロック遊びをしたり、さかなつりゲームをしたり、ローラーブレードまで楽しんじゃいます。遊びつかれ、ひとねむりして朝にはベランダの自分のおうちへと帰って行きます。来たときと同じようにこっそりと。でも、なにかあちこちに証拠を残していきますよ。さて、それはなんでしょう? 韓国・ソウル出身のイ・ホベクさんの繊細で愛らしい作品です。
読み聞かせレポート
対象: 小学1年生 26人
場所: はまっ子ふれあいスクール
入学して間もない新1年生に読み聞かせしました。ちょっと乱暴なところのある男の子が前に陣取ります。となりの子となわばり争いがはじまります。静かにしないとはじめません! と一喝。今回の作品は、主人公のうさぎのようにふわっとした繊細な世界。絵もデッサンのようだったり、色のうすい水彩だったり、淡い色彩描写が印象的です。だれもいない部屋をうさぎがひとり過ごす静かな物語です。放課後の解放感いっぱいの子どもたちにはちょっとミスマッチだったかな……。でも、一番前のいい場所を陣取ったあの男の子はとても満足した表情でした。あばれん坊が、かわいい動物を主人公とする絵本にぞっこん! これって意外とよくあるケース。ただ、淡い絵なので近くでないとよく見えない、よくわからないところがあったようです。絵本からの距離と比例して関心と集中力も離れていく感じでした。自宅で5歳の男の子と7歳の娘に読んであげたときは、二人ともとても楽しんでくれましたよ。この絵本の読み聞かせは5、6人以内がいいかもしれませんね。