絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

なんでも見える鏡

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『なんでも見える鏡』 フィツォフスキ再話
   内田莉沙子 訳  スズキコージ 画
   福音館書店 1989年刊

 

  あらすじと感想

貧乏なジプシーが旅に出ます。旅の途中、川岸で大きな銀色の魚をひろい、食べようとしますが、その魚に殺さないで川に返して欲しいといわれます。うろこを1枚あげるので、困ったときにそれを燃やすせばすぐに助けにいきますから、と銀色の魚。ジプシーは、いうとおりにします。今度は、キツネにねらわれているワシの子をジプシーが助けます。ワシの子も1枚羽を差し出し、困ったときにこれを燃やせば助けにいくといいます。またまた、アリの王さまを助けて・・・。やがて、ジプシーは美しい王女のいる国に着きます。この国では王女から隠れて見つからなかった者が王女と結婚できる、というおふれが出ていました。ジプシーは隠れることに挑戦します。しかし、王女には「なんでも見える鏡」があったのです。ジプシーは、銀色の魚やワシの子の力を借りますが・・・。


<読み聞かせ>レポート   
 対象: 小学2・3年生 12人   
 場所: 学童保育クラブ

スズキ・コージさんの濃厚な絵が幻想的な物語にじつにマッチした作品です。ワシがジプシーを背中に乗せて空を飛ぶ見開きのページでは、それを語る前のページの文を暗記して読み、絵のみのインパクトあるページを長く見せるようにしました。絵本では、文と絵がかならずしも同期しているわけではありません。とくに見せ場では見開き全面が絵となることが多々あります。そんなときにはそれを語る前後のページの文を暗記して読んであげて、その見せ場を子どもたちにじっくりと味わってもらう手もあります。
また、「なんでも見える鏡」に映し出されたジプシーの帽子の飾り玉は小さく、わかりにくいので読みに合わせて、絵の中の飾り玉を指でさして教えてあげました。その瞬間、子どもたちの顔がこちらにぐっと近づいてくるのが愉快でした。後半、ジプシーがアリの地下トンネルを抜けながら王女の椅子の下まで行き着く見開きのページでも、指でジプシーの動きを示してあげました。男の子たちは、アリのトンネルのこの絵に一番興奮していたようでした。