絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

おとうさんとさんぽ

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『おとうさんとさんぽ』
 にしかわおさむ 文・絵
 教育画劇 1989年

 

あらすじと感想

天気のいい日、男の子はおとうさんと森に散歩に出かけます。そこでさまざまな動物たちと出会っていきます。道をとうせんぼする大きな犬、おならを吹きかけようと待ちかまえるスカンク。でっかいホットケーキを食べていくようにすすめるクマ。みんな少しいじわるです。でも、おとうさんと男の子は、その場その場をじょうずに切り抜けていきます。男の子はなかよしになろうと動物たちにキャラメルをあげます。動物たちもいじわるしたことを素直にあやまります。まだ上手に話せない小さな子同士がお菓子をあげたり、もらったりしながらコミュニケーションをとっていくことがありますよね。この物語のなかでもキャラメルは、一瞬でなかよしにしてくれる魔法のちからを発揮してくれます。それにしてもこのおとうさんのヒゲは印象的です。あまりに似合わな過ぎてそれが逆に不思議な存在感をかもしだしています。でも、とってもやさしいおとうさん。ほのぼのとしたシナリオにマッチしています。

 

読み聞かせレポート    
対象: 小学1年~4年生 16人
場所: 書店イベントスペース(全国読み聞かせ隊イベント)

おとうさんと男の子が主役の絵本なので、やっぱりお父さんが読み手だと有利かもしれません。でも、お父さん以外の方々の読み聞かせもおもしろいかもしれません。なにせこのおとうさん、不思議なヒゲもそうですが、いそうでいないキャラなので、お父さんお父さんしていない読み手の方がしっくりくるかも! この絵本を読むときはまず最大限のリラックスを心がけました。冒頭に「いいてんきだね。もりへさんぽにいってみよう」というおとうさんのせりふがありますが、この絵本を手にした瞬間から、自分がその森の道に立ち、きもちのいい風に吹かれているイメージをもつようにしました。そして、ゆったりと歩くように文を読みました。この絵本には、これというドラマチックな場面はありません。そのかわり動物たちとのほのぼのとした交流が展開されます。それと、お父さんという守ってくれる存在がずっと物語に添っているのが、やはり大きいですね。子どもたちの安らいでいる視線が静かに絵本にそそがれていましたよ。