アルフィとくらやみ
『アルフィとくらやみ』
エロール・ル・カイン 絵
サリー・マイルズ 文 ジルベルトの会 訳
評論社 2004年刊
あらすじと感想
真夜中に目を覚ましたアルフィは暗闇のなか。もし、明かりをつけたらこの暗闇はどこへ行ってしまうのだろう? そんな疑問を持ったアルフィのそばに“くらやみくん”がやってきます。二人は話しをはじめます。この絵本で描かれているのは、アルフィとその部屋、擬人化された“くらやみくん”だけですが、子どものこわがる夜の世界がリアル、かつファンタジックに伝わってきます。こわいはずの暗闇となかよくなっていくアルフィ。でも“くらやみくん”には、暗闇ならではのかなしさ、さびしさもあるのです。そして、二人は友だちになります。二人は、もうこわくも、さびしくもありません。アルフィは暗闇にやさしく包まれやすらかな眠りへといざなわれていきます。
<読み聞かせ>レポート
対象: 6歳女の子1人
場所: 自宅
これはおおぜいを前にして読み聞かせるよりも、夜、寝床で自分の子どもに読んであげるのにふさわしい本です。ふとんに入り、子どもの耳元でゆっくり、ささやくように読みはじめると、まず、夜におびえる主人公の不安な表情とそっくりな表情を浮かべます。まるで絵のなかのベッドにいるように、こわごわと“くらやみくん”に見入ります。くらやみくんの姿は最後までやはりおそろしいのだけど、だんだんとその姿にもなれていきます。絵本が終わりになる頃には、出だしの少し緊張させられたときとはぜんぜん違う安らいだ顔つきになります。そして、そのまま主人公のように娘はすやすやと眠りはじめるのでした。