絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

もっちゃう もっちゃう もうもっちゃう

『もっちゃう  もっちゃう  もうもっちゃう』
  土屋富士夫 作
  徳間書店 2000年

 

あらすじと感想

デパートへやってきたひでくんという男の子が受付のおねえさんに「あのー、そのー、……おしっこ どこですか」と聞くところからお話がはじまります。エレベーターに乗って教えられたトイレへむかうのですが、「ただいま工事中!」。またエレベーターに乗るのですが、今度は屋上まで止まらないのです。おしっこはどんどんたまる、けれどトイレはどんどん遠くなる。階段をつかってトイレをめざすひでくん。そんなさなかにキリンさんやコウモリさん、はてはガイコツさんと出会いトイレに案内されるのですが、ひでくんにはとてもおしっこできるシロモノではありません。その後もトイレへのけわしい道のりがつづきます。ひでくんやっと、念願のトイレにたどりつきスッキリするのですが……。お話の舞台はデパート。たくさんのトイレ、エレベーターに階段、おしっこというテーマにぴったりのシチュエーションですね。「もっちゃう、もっちゃう、もうもっちゃう」この呪文のようなコトバで、おしっこをガマンしている感覚が伝染させられる臨場感あふれる作品です。

  
読み聞かせレポート 
対象: 小学1年 27人
場所: はまっ子ふれあいスクール

4月、入学したばかりの新1年生。ちいさくたよりないカラダ、でも、はずんでいます。どの顔も輝いています。このピカピカさを浴びられるということは本当に幸せです。この子たちに毎日、連続で絵本の読み聞かせをすることにしました。昨年の新1年生の時は、「おはなし会やるよー」というと「えっ~いつおわるの?」といわれてへこみましたが、今年の1年生は絵本を抱えたわたしの前にギューっと集まってきます。『もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう』は、この期間12冊読み聞かせしたなかでいちばん盛り上がりました。子どもたちによくある体験と作品の臨場感あふれる展開がマッチしたんですね。