絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

めっきらもっきら どおんどん

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『めっきらもっきら どおんどん』
長谷川摂子 作  ふりや なな 画
福音館書店 1990年刊

あらすじと感想

ある日、かんたは遊びともだちが見つからなくて、しゃくになり、大声でめちゃくちゃなうたをうたう。「ちんぷく まんぷく あっぺらこの きんぴらこ めっきらもっきら どおんどん」このへんてこりんなうたが呪文となったのか、かんたは木の穴から異世界へと落ちていきます。そこにいたのは3人のおかしな妖怪たち。みんな遊ぶことがだいすき。それぞれ、びっくりするような遊びでかんたを楽しませてくれる。おいしいおもちがなる夢のような木もあるし、最高の場所なのですが、やっぱり家が恋しい、おかあさんと会いたい。もとの世界に帰ればもう2度と遊びに戻れない、さてどうなるか・・・。子どもにとって孤独な時間は、“ここ”とは異なるもうひとつの世界につうじる道でもあります。この作品は、子どもたちの空想力と共鳴するような飛躍感があります。でも、帰るのところはいつも“おかあさん”のところなのです。

 

<読み聞かせ>レポート  
 対象: 小学1年~3年生 16人
    場所: 学童保育クラブ

「読み聞かせ」で人気のある作品です。すでに内容を知っている子も何人かいました。でも、いい作品はなんどあたっても飽きることがないようです。はじまりから子どもたちを引き込んでいきます。呪文「ちんぷく まんぷく…」のところは、暗記して子どもたちの顔を見渡しながら歌をうたうように読んであげてください。なかにはきっと、いっしょにこの呪文をとなえてくれる子がいるはずです。
絵本の読み聞かせでは演技過剰にならないようにとよくいわれます。でも、演技してはいけないということではありません。過剰な演技が良くないというあたりまえの話で、その絵本が伝わるような演技が読み手には求められるのです。作品によっては淡々と読むというのも演技のひとつです。めっきらもっきらの場合は、演技豊かに読み聞かせを行ったほうがいいようです。登場する3人の妖怪たちはキャラが立っています。妖怪ごとに声を大きく変えて発語しました。読み手のやりがいのあるパートです。
数日後、読み聞かせに参加していた2年生の女の子と会ったとき「ちんぷく まんぷく あっぺらこの きんぴらこ めっきらもっきら どおんどん」と、そらで歌ってくれたときは、とてもうれしかったです。