絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

ロバのシルベスターとまほうのこいし

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『ロバのシルベスターとまほうのこいし』
ウィリアム・スタイグ 作 せた ていじ 訳
評論社 1975年刊(初版)

あらすじと感想

ある日、シルベスターは赤いきれいな小石をみつけます。じつはこれなんでものぞみを叶えてくれるまほうの小石だったのです。お天気を自由に変えたりにしたり、ひずめのイボをとったりと、シルベスターは大喜び。とうさんとかあさんを驚かせようと、いそいで家へむかいますが、途中、はらぺこのライオンと遭遇します。シルベスターはあわてて、自分を岩に変えます。小石にお願いしたのです。食べられることはなくなったものの、手足のない岩ではまほうの小石を拾うこともできません。岩のままです。いつまでたっても息子が帰ってこないので両親は悲しみに沈みます。月日が過ぎ、両親は息子のことをあきらめ、元気を取り戻そうとピクニックへ出かけます。そこはあの岩になったシルベスターのいる丘です。やがて、うれしい奇跡が起こります。親と子の絆、たがいのその思いに胸がジーンときます。

 

 

<読み聞かせ>レポート   
対 象: 小学1年生~3年生 7人 
場 所: 学童保育クラブ

岩からもとのすがたのシルベスターになるところが、いちばんの見せ場であり、読み聞かせのクライマックスです。ただ、まほうのかけかた、といいますか、まほうのきまりごとにあいまいなところがあり、よく注意して聞いていた子どものなかには「?」となる子もいました。小石を持つか、触れていなければまほうはききません。そしてのぞみを言わなければならないのです。前半の部分ではそのようなまほうのかけかたになっていました。おかあさんが岩の上の小石をのせてくれましたが、岩になったシルベスターはしゃべれませんよねえ。でも、強い思いが岩から発せられ、もとのすがたに戻れることになったのです。その子と「おはなし」が終わったあとにそのことを話すと、納得してくれました。文字が小さく文章量が多い絵本です。もちろん読み聞かせの時間も長くなります。でも、あせらずにゆったりと読んであげてください。子どもたちも集中して耳をかたむけてくれます。そして物語のすばらしい締めくくりが子どもたちに、読み手にもやってきます。