絵本の旅人

「読み聞かせ」のための実践レポートです!

ごちゃまぜカメレオン

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『ごちゃまぜカメレオン』
エリック・カール 作  やぎたよしこ 訳
ほるぷ出版 1978年
 

あらすじと感想

葉っぱの緑色にも、木の枝の茶色にも砂の黄色にも、どんな色にも変わることができるカメレオン。あるとき、丘の上から動物園にいるたくさんの動物たちを眺めて、その姿にとてもうつくしいと感激してしまいます。「ぼくは なんて ちっぽけで、のろまで、よわむしなんだろう! ホッキョクグマみたいになれたらいいなあ。そうしたら、おおきくてかっこいいのにな」とカメレオンが思ったとたんにカメレオンはホッキョクグマのように大きく白くなります。でもカメレオンの姿かたちはそのままです。つぎに「フラミンゴはきれいだなあ」と思うと、カメレオンにピンクの翼と長い足が生えます。ホッキョクグマの色と大きさはそのままです。変身は変身なのでしょうが、トッピングなのですね。ここがこの絵本の最高にユニークなところです。そうしてサカナやシカやキリンやカメ、アシカにゾウと、それら動物たちの姿かたちがどんどん加わっていきます。うつくしいどころか、もう、とんでもない姿に変わってしまったカメレオン。さて、最後はどうなるかな、本をとってのお楽しみに!

 

読み聞かせレポート
対象: 小学1年生 20名                           場所: はまっ子ふれあいスクール

イントロの8ページまで、子どもたちは神妙な顔つきをして聞いています。さて、いよいよ“ごちゃまぜ”がはじまります。最初はまっしろなホッキョクグマ。紙面いっぱいに大きくなったカメレオンは白いキャンパスのようです。子どもたちの目が絵本にいっせいに集まってきます。白い大きなカメレオンにフラミンゴのピンクの翼と足がつくと「オッー」と声が上がります。サカナ、シカ、キリンとつぎつぎにトッピングされていくたびに子どもたちの歓声もボリュームアップ。女の子が「キモーイ、もうやめて~」といいながらも指のあいだから目玉がきょろきょろ。これだけ盛り上がるとはびっくり! 「奇想天外」の一本勝負の絵本です。巨匠エリックさんにははなはだ失礼ですが、この作品についていえば、メインのあとのデザートとして饗するのがいいかも。子どもたちがもの足りない顔をしているときの起死回生の一冊としてもいい本です。またアンコールにもうってつけの作品です。