ザガズー
『ザガズー』
クエンティン・ブレイク 作 谷川俊太郎 訳
好学社 2002年刊
あらすじと感想
とても仲のいいカップルのところにある日、小包が届きます。なかにはなんとかわいい赤ちゃん。ふたりは赤ちゃんをザガズーと名づけ、しあわせいっぱいに過ごします。ところがある日のこと、ザガズーはハゲタカの赤ちゃんになっているのです。毎日、キイキイと鳴いて、そのうるささにうんざりとなるふたり。ところがまたある日、ザガズーは、ちっちゃなゾウに姿を変えているのでした。家具をこわしたり、なんでも口に入れようと大暴れ、ふたりは頭を抱え込みます。さらに、ザガズーはイボイノシシに、また、おこりっぽいリュウに変身していきます。まだまだ、ザガズーの変身はつづきます。ついには、毛深いみょうな生きものにまでいきつくのです。ところが……。わけもなく、ただ変身していくザガズー、その“不条理”さが面白いところです。ラストのどんでん返しは、忘れられない不思議な余韻を残すでしょう。
読み聞かせレポート
対象: 小学2・3年生 5人
場所: 学童保育クラブ
この絵本のタイトルになっている「ザガズー」という名、この名にわたしは魅力を覚えました。濁音が3つも連なって発音しづらいけれども、口にするとその響きはまわりに不思議な雰囲気をかもしだしてくれます。呪文のような感じですね。本文で「ザガズー」の名は何度か出てきますが、読むときはしかと心を置いて発語するようにしました。また、ザガズーが変身する前のページでは、「ところがあるひ」というフレーズが出てきます。このとき、ちょっと間を取り、子どものうちだれか一人の目をのぞきこむようにしていってみました。そしてページをめくり、とんでもないものに変わってしまったザガズーにみんなでおどろいたり、あきれたりしました。順番に一人ずつそうしていくと、場にまた別のいい感じが生まれていきました。